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カナディアン・パシフィック・カズノコ協会
カズノコについて

2.DHAとEPA

EPAやDHAによる動脈硬化予防作用

動脈硬化を抑制 - 数の子に含まれるEPAやDHAは血圧低下作用、血液中のコレステロールと中性脂肪に対する低下作用、血栓の生成防止作用を有しこのために動脈硬化を抑制する。

動脈硬化の発生原因は複雑です。まず、高血圧といったことが引き金となって動脈内壁に傷がつきます。傷がつきますとこれを修復しようとしてリンパ球や単球といった細胞が集まってきます。こうした細胞は動脈内壁の中に入り込み、巨大細胞(マクロファージ)になります。

ここで、血管内に酸化されたLDLコレステロールが多量に存在しますと、マクロファージは酸化LDLコレステロールをどんどん溜め込み巨大化していき、ついには血管内壁が盛り上がることになります。こうした盛り上がりはその後も肥大化し、動脈硬化の状態になり、その結果、血液が流れにくくなります。

一方、血液中には血栓が存在しますが、この血栓は動脈硬化により狭くなった血管内を通れなくなり、ここで血液が完全にストップし、ついには血圧が上昇し血管が破裂してしまいます。動脈硬化が起こる場所が脳であるならば、脳梗塞、心臓ならば、心筋梗塞、大動脈なら大動脈瘤破裂というように生命にもかかわる危険な状態に陥ります。

こうした状況に対してDHAやEPAは様々な側面から動脈硬化の予防効果を示します。まず、血管の内壁の盛り上がりは、血圧上昇に伴う血管壁の損傷がきっかけで起こると述べましたが、DHAやEPAは血圧低下作用を有するため血液の流れがよくなり、動脈硬化の危険性が低下します。

この場合、血液中には赤血球が流れていますが、赤血球の細胞膜中にEPAやDHAが取り込まれると、赤血球膜の流動性が向上し、ひいては血液の粘度が低下するからなのです。

動脈硬化の主因としては、LDLコレステロールの酸化が知られていますが、EPAやDHAは肝臓におけるコレステロールの合成や分泌を抑制し、血中のコレステロール濃度を下げます。

また、血栓はアラキドン酸という蓄肉に多い脂肪酸から誘導される物質が引き金となって生成し、傷口などからの血液の流失を防ぐ役割をするのですが、血液中に血栓が生じ、これが動脈硬化部分でつまってしまうと、血管が破裂するわけです。

EPAやDHA、特にEPAはアラキドン酸のこうした働きを低下させ血栓の生成を抑制します。

さらに、血管の拡張作用もEPAは有することが知られています。一度動脈硬化にかかると、血管の収縮が起こりやすくなり、再度動脈硬化になる危険性も増しますが、EPAはこうした危険を軽減する働きがあります。

図1-EPA(16%)及びDHA(12%)含有油のラットは血漿脂質に及ぼす効果

図2-EPA(16%)及びDHA(12%)含有油のマウス血漿脂質とグルコースレベルに及ぼす効果

EPAの血管収縮抑制作用についてはまだ不明な点もありますが、脳梗塞などで救急車に担ぎこまれた直後にEPAを注入できれば患者の予後の回復が早まる可能性もあります。

図-1と図-2は最近我々が行ったEPAやDHAを含む油脂の血漿脂質に及ぼす影響について示した図です。ラット及びマウスいずれの場合もコレステロール、中性脂肪、総脂質がコントロールである大豆油を投与した場合よりも減少しているのがわかります。

特に、マウスでは血糖値も下がり、EPAやDHAには抗糖尿病作用のあることもわかりました。こうした血中脂質に対するEPAやDHAの効果は動脈硬化の予防にもつながり、EPAやDHAの効果が確かめられたといえます。
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