肥満の抑制 - 肥満は様々な生活習慣病を引き起こす。しかし、数の子に含まれEPAやDHAはお腹の脂肪を燃やして肥満を抑制する。
肥満は最近日本でもよく話題になる事柄の一つです。アメリカほどではありませんが、日本でも肥満、特に内臓の周囲に油が蓄積する内臓脂肪型の肥満が問題になっています。
内臓に脂肪が蓄積するだけなら、特に問題はないのですが、この脂肪組織を形成する脂肪細胞からは、様々な物質(アディポサイトカイン)が体内に放出され、これが、さらなる肥満、糖尿病の誘発、脂質代謝の異常などを引き起こすのです。
脂肪細胞は細胞内に脂肪をどんどん溜め込みその結果、アディポサイトカインの放出はさらに勢いをまします。こうなりますと、内臓脂肪の蓄積は単に肥満という外見上の問題ではなくなってきます。肥満が各種の生活習慣病の危険因子になっていくのです。
それならば、どうしたらこの肥満を解消できるのでしょうか?最も効果的なのが運動です。運動により脂肪をエネルギーに変えればよいわけです。しかし、現代においてはなかなかこうしたこともままなりません。食事により肥満の解消ができればこれにこしたことはありません。
現在、こうしたいわゆるダイエット食品が数多く販売されておりますが、科学的根拠にかけたものも多々あります。これに対し、DHAやEPAは細胞内の特殊なメカニズムを介してこの
内臓脂肪の軽減化
を図れることがわかってきています。
図-3を見てください。これは最近我々が行なったEPAとDHAを含む油脂のラットとマウスに対する
内臓脂肪の蓄積抑制作用
を調べたものです。
いずれの場合も大豆油に比べてEPA及びDHA含有油投与では
内臓脂肪量の低下
していることがわかります。
また、EPA及びDHA含有油を投与した動物の内臓脂肪を細胞レベルで調べたところ、ある種の脂肪細胞(褐色脂肪細胞)中のレセプター(受容体)に対してEPAやDHAが作用し、この細胞の中で脂肪が熱に変換されていることが示されました。
脂肪細胞は2種類存在し、ひとつが白色脂肪細胞といわれ、これは脂肪をどんどん溜め込む細胞です。これに対して褐色脂肪細胞と呼ばれる細胞があります。
この細胞は脂肪をエネルギーに変えるのではなく、
直接体熱として発散させる機能
を持っています。
しかし、褐色脂肪細胞の存在量は少なく、また、常に内臓脂肪を燃やしているわけではありません。褐色脂肪細胞のスイッチを入れるためにはその細胞の特殊な部分に特定の成分を鍵のようにはめ込まなければなりません。そうした機能を有する薬剤はいくつか見つかっておりますが、食品成分ではあまり知られていません。
ところがDHAやEPAはこうした鍵の働きをし、これにより、褐色脂肪細胞が活性化されて、脂肪が熱に積極的に変わっていくことが確かめられています。(図-4)
言い換えれば、
DHAやEPAを摂取すれば、寝ている間でもおなかの脂肪が燃えて熱となって発散していく
わけです。
もともと、脂肪の成分であるDHAやEPAが
脂肪の蓄積を軽減
させるというのも興味のあるところですが、これは、DHAやEPAの特殊な構造に由来していると考えられています。
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